2019/08/31 10:54
ども。
製作担当の中西です。
今回は当ブランドLotustorksの中からRETRO FUTURE PICK GUARDの製作過程についてご紹介したいと思います。
そもそも当ブランドはミュージシャン目線でプレイヤーにとって便利なものや、あったらいいなを形にするのが主な目的です。
そのため必然的に世の中に無いものにも発想が至っていきます。
そんな中で我々は漠然と思いました。
『なんかおもしろいピックガードできねぇかな』
なんか・・・?
はぁ??
これほど漠然とした考えもないのでしょうが、製作を経験するにつれ、むしろ始まりはこうあるべき!とすら思いようになりました。
ピックガードとはギターやベースに装着するパーツの総称です。
結論としてはピックガードとコントロールプレートを合体したらいいんじゃね?ということになりました。
かくして後にRETRO FUTURE PICK GUARDと命名される製品の製作が開始されることになったのです。
1.『簡単』は使う人によって破壊力が違う
我々は気持ちだけでブランドの立ち上げを始めたのでデザインに関してはthe素人というわけです。
誰かに頼らないとなーんにもわかりません。
知識と経験、
King of Nothing
そんなわけで代表の吉川がとあるデザイン屋さんに相談してきてくれました。
持ち帰ってきた情報をまとめると以下の通り
①パソコンで見れる図面がほしい
②イラストみたいに描いた簡単なもので大丈夫
③レーザーで素材をカットしよう
①に関しては誰しもが想像できるかことかと思います。
お気づきの通り大問題だったのは②なのですが、なにせ当時の私は表参道で食べるハニートースト並に甘い考えを持っていました。
ロクに内容を聞きもせずに吉川から頼まれた図面製作をホイホイと安請け合いしてしまいます。
しばらくして自分がメガトン級の勘違いをしていたことに気づくわけです。
2.崇高なり、おにぎりさん
デザインのエキスパートが使う『簡単』という言葉を鵜呑みにした私はスタートから大きな壁にぶつかります。
線って、パソコンでどうやって書くん?笑
あぁ恥ずかしい。。。
安請け合いした時の自分に愛情たっぷりの鉄拳制裁を贈りたい。
そこからはGoogle先生にデザインのコトを訪ねる日々が続きました。
紆余曲折を経て、どうやらCADという種類のソフトを使えば線が書けそうということが判明します。
いざCADを使い始めたのですが↑の時点ですでにメンタルがやられた私は地道に一つずつ勉強することにしました。(エライ!)
話は変わりますがおにぎりの絵を描くことができますか?
例の形をしたゴハンにノリが張り付けてあるアレのことです。
紙と鉛筆を渡せば大抵の方は簡単に描けるのではないでしょうか。
ですがCADを使った場合も簡単かと言うと、そうは問屋がおろしません。
角度はぁ?
長さはぁ?
ノリの位置どーするのぉ?
厚みはぁ?
大きさはぁ?
丸みはぁ?
幼少期のダダっ子も驚くほど注文が多い。。。
ちなみに自分で3Dモデリングしたおにぎりさんがこちらです。
これをCAD上で作ろうと思うと構成する要素は隅から隅まですべてを数字で定義していく作業が必須になるのです。
ましてピックガードに使用されているような円でも円弧でもない自由曲線を数字で定義するなんて・・・。
白髪増えた。
3.A型の天職?
前述したように最終的には素材をレーザーでカットして製作することになっていました。
いざ図面が出来上がったところでまたもや大問題発生です。
レーザーカットでCADデータは使えないよっ。
もうハゲた。
薄毛になっても誰かが助けてくれるわけではありません。
なんとか正気を保ちつつ気合と根性で専用データに変換しましたが、変換の終わりは試作の始まりです。
ほぼ毎日レーザーカットを使った簡易試作をしに行くこと約2か月。
工房の方とはとっくに世間話ができるようになっていました。
でっ、できた・・・。
無論完成したのは製品ではなく試作品のための簡易試作です。
いざ楽器に取り付けてみると、
アレ?はまらねぇ・・・。
そうです。
なにせ素人がやったことなので精度がまったく足りてなかったのです。
絶望と同時に頭の中で悪魔の声が響き渡ります。
や・り・な・お・せ♪
ハイ。本当に最初から全部やり直しました。
最終的には設計上の精度を0.01mmに設定し、個体差のある楽器に対して汎用性を持たせるために部分的なマイナーチェンジを繰り返しました。
几帳面という言葉なんてものはとっくに通り越した精度0.01mmの世界・・・A型最高。
4.ものづくりって?
それから複数の製造業者様に依頼して、製作に向けた打ち合わせを何度もくり返しました。
思い返せばずいぶんと時間をかけてしまった気がします。
ですが最終的に出来上がった製品を代表の吉川と二人で楽器に取り付けてみた瞬間の感情は今でも忘れることができません。
『なんかおもしろいピックガードできねぇかな』
この程度の考えが形を持ち、製品として誰かが、どこかのミュージシャンが喜んでくれるのかな、なんて思うと感無量です。
名前どうしよっか?
当然の流れです。
何かにつけて最終的な決定は代表の吉川に一任(という丸投げ)しています。
RETRO FUTURE PICK GUARDでいいんじゃない?
アッサリ決まりましたが、私はとても気に入りました。
この製品はJタイプベース専用ですが、時代の流れを振り返るとJタイプのプロトタイプと呼ばれるPタイプが存在しています。
今回の製作はPタイプピックガードの形状を踏襲できているのです。
結果的には後付けのようなネーミングになってしまいましたが、
レトロな、フューチャー。
なんともいい響きではないですか。
私は決してデザイナーではありません。
製作の知識に関しても必要以外の持ち合わせがないのです。
ですが『ものをつくる』ことのよさってこういうことなのかなと、今では少しだけ想像できるようになった気がしています。
手前味噌ながら見ているだけでも美しい製品になりました。
吉川と私の想いも詰め込んだつもりです。
ベースプレイヤーの方は見るだけではなくぜひ手に取って、使っていただいて、ベースを弾くことがもっと好きになってもらえれば、
これ以上の幸せはありません。
製品リンク
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