2021/03/06 13:00

ども。
製作担当の中西です。

今回は楽器が個体として持つ音の意味と価値について、
私なりにお話ししてみようと思います。


私共Lotustorksは互いにベーシストなのですが、
メイン機として二人とも1960年モデルを使用しています。

1960年というのはベースという楽器にとって非常に大きな年で、
この年は初めてエレクトリックベースのジャズベースというモデルが流通を開始した年でした。
(1959年製ジャズベースというものが存在していますが、これはまた別の機会に。)

ここから1961年後期に入ると、
マイナーチェンジを経て、現在流通しているジャズベースの原型がほぼ完成されることになります。

そのため1960年(厳密には1961年前期まで)のモデルは、
それ以降にはない特殊な作りをしているので、
少し変わった音がするのです。

画質が粗くて申し訳ないのですが、
こちらが私のベース。
少し話がややこしいのですが、
1960年仕様2018年に製造された一本となっています。

現行モデルとの違いはいくつかありますが、
最も大きな違いはこのツマミの部分を含めた電気回路。
ココがちょっと特殊な仕様です。

ではこの音の違いが、
バンドやアンサンブルにおいてどの程度の意味を持つのかと言うと、
ハナハダ分かりません。

ハッキリ言って意味なんてないとすら感じるのが率直なところです。

ベースに関わらず、
楽器が持つ音の個性は理解しているつもりではいます。
先日聞いたギタリストの方のギターが持つ音も、
まぁ凄まじいものでした。

しかし自分が聞き分けられているつもりの『音の違い』を他人と厳密に共有することは不可能です。
もちろん音は空気を媒介した『振動』ですので、
音の成分を波形化したり、数値化することで比較は可能となります。
ただそこまでする方は世界中探しても、そうそうおられないでしょう。

ましてプレイヤーでなく、オーディエンスとして音楽を楽しみにしておられる方にとって、
楽器の音の違いなんて絶対にメインテーマにはなり得ません。

つまり聞く側に立って少し乱暴な言い方をすると、
音の違いなんて
正味どうでもいい
ということになります。


ではいい(と思う)音に価値がないかと言うと、
それまた違うと思います。

一流の料理人がいくら産地にこだわった食材を使っていたって、
食べる側が全ての食材の産地までは見抜けないのと同じことです。

作り手がよいと思うものを全力で揃えて全力で提供する
こうすることで初めて価値が生まれると思っています。

作っている人がマズいと確信している料理が出てくる店なんて、
誰も行きたくありませんよね。

だからこそ
追及することに意味がある
のではないでしょうか。

Lotustorksでも、
追求していくプレイヤーの姿勢に最大限の敬意を払い、
常に現場主義に徹底した製品開発をしていけたらいいなと思っています。

ではまた。